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「日本画 龝月明」
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日本画 龝月明
日本画家の穐月明(あきづきあきら)は1929年(昭和4年)に和歌山県の高野山に生まれた水墨画家です。高校までは愛媛県の東予市で育っていますが、大学受験は京都市立美術専門学校(現・京都市立芸術大学)に入学を果たしているので、幼い頃から美術に対する憧憬を持っていたのでしょう。ただ入学してからは、洋画と日本画の両方を学んでいたところを見ると、特に決めたテーマを持ってはいなかったようでもあります。
そのような彼が目標を求めて彷徨っていた頃に出会ったのが「金冬心」の画集でした。金冬心(1678~1763年)は清の時代の画家で、詩・書・画いずれも好んでよく描いていますが、特に書の分野では独特の書体を持ってよく知られた作家です。金冬心は官職につくことを望まず、一生を市井の画人として活躍したのですが、穐月明が感銘したのは実はそのへんなのではないでしょうか。なぜならそれ以降の穐月明の歩みを見ると、どの画壇・グループなどに属することなく孤高の画人として作画に打ち込んできたからです。ただ画法は金冬心の影響を受けたせいであろうか水墨のみによる作画に没頭し、その作風もまた独特のタッチをあみ出しています。
作品発表は官を嫌った金冬心のように日展(日本美術展覧会)などへの応募には参加せず、もっぱら個展によって行われていました。作品「野の仏」を見ると、これはいわゆる仏画とは言いがたく、むしろ童話に出てくる仏のようです。そしてこのようなおだやかな世界が穐月明の生み出した独特の作風でもあります。観音・菩薩像から野仏など仏画は数多く残していますがいずれも誰も描いたことのない表現になっています。さし花や風景なども同様で、潤いに満ちたおだやかな濃淡の世界を表現しています。
近年、穐月明自身が語った言葉を紹介します。「平凡なものに無限の味を覚えるようになった」「無限の味」…まさに言いえて妙ではないでしょうか。日常のなかで見るなにげないものを通して、穐月明の心に映る心象が独特の墨色世界を創造して行くのでしょう。
そのような彼が目標を求めて彷徨っていた頃に出会ったのが「金冬心」の画集でした。金冬心(1678~1763年)は清の時代の画家で、詩・書・画いずれも好んでよく描いていますが、特に書の分野では独特の書体を持ってよく知られた作家です。金冬心は官職につくことを望まず、一生を市井の画人として活躍したのですが、穐月明が感銘したのは実はそのへんなのではないでしょうか。なぜならそれ以降の穐月明の歩みを見ると、どの画壇・グループなどに属することなく孤高の画人として作画に打ち込んできたからです。ただ画法は金冬心の影響を受けたせいであろうか水墨のみによる作画に没頭し、その作風もまた独特のタッチをあみ出しています。
作品発表は官を嫌った金冬心のように日展(日本美術展覧会)などへの応募には参加せず、もっぱら個展によって行われていました。作品「野の仏」を見ると、これはいわゆる仏画とは言いがたく、むしろ童話に出てくる仏のようです。そしてこのようなおだやかな世界が穐月明の生み出した独特の作風でもあります。観音・菩薩像から野仏など仏画は数多く残していますがいずれも誰も描いたことのない表現になっています。さし花や風景なども同様で、潤いに満ちたおだやかな濃淡の世界を表現しています。
近年、穐月明自身が語った言葉を紹介します。「平凡なものに無限の味を覚えるようになった」「無限の味」…まさに言いえて妙ではないでしょうか。日常のなかで見るなにげないものを通して、穐月明の心に映る心象が独特の墨色世界を創造して行くのでしょう。
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